5つの物語からの脱出

夢を見た。

夢の中身は脱出ゲームだった。全ての参加者にA4の紙6、7枚が配られる。紙には物語(事件)の一場面が書いてあり、参加者は他の参加者と交流しながら物語の断片を集め、ひとつづきの物語を完成させることを目指すというものだった。
物語は全部で5つ。それぞれ5つの場面から成っていて、脱出成功の条件は5通りの物語の5場面、つまり計25場面の情報を集めることだった。さらに、各参加者に配られる紙には必ず1枚「あなたは物語Xの○○です」という、5つの物語のいずれかにひもづいた自分の役割を示す紙が含まれており、ある物語の登場人物として、そして同時に他の4つの物語の目撃者として物語を解明することが求められる。特筆すべきは各物語に「犯人」がおり、自分が登場するのと同じ物語の犯人に素性を知られてしまうとその場でゲームオーバーとなる。逆に犯人は自分の物語の他の登場人物を演じる人間が先に全員脱出すると、その時点でゲームオーバーとなる。
5つの物語が交差する脱出ゲームの舞台は、隠れ家のような雑然としたつくりの船内。脱出時に船着き場の光景が見えたのできっとこれは船の中なのだと思った。ただしイメージとしてはハウルの動く城の中が近い。近くに人の気配を感じながらも、その人が犯人か否かをとっさに判断して逃げるか姿を現すかを決めなければならない。確かスカウターと小銃のような小道具も支給されていた気がする。そんな中で私は小学校の同級生だった女の子と行動をともにしていた。中高の同級生や職場の先輩が次々と謎をクリアしていくのを横目で見ながら、中二階の隠し部屋に避難して下のフロアを覗きつつ集めた情報をを照合していた。犯人が誰か、どこにいるのか、まったく検討がつかない。隠し部屋から打って出るべきか否か…迷いのうちに目は覚めた。